建設業は未来を担う若者の確保が今こそ待ったなしだ。さらに建設現場で活躍する女性の技術者・技能者にもっと親近感や憧れを持ってもらう取り組みも進んでいる。
これまで現場で働く女性の愛称は「建設なでしこ」や「ドボジョ」などと言われていたが、日建連が「けんせつ小町」という愛称を公募選定し、今やそれをアピールする現場見学会も盛んだ。
一方、国土交通省は、建設業での女性の活躍を支援する地域ネットワークの取り組みを紹介する事例集を作成。地域の建設会社や業界団体、教育機関、行政機関などで作る12グループの取り組み状況をテーマ別に取りまとめている。さらに活動成果と併せて今後の課題も示している。
これらは、地域ぐるみで女性活躍を推進する際の取り組みのヒント、アイデアとして活用してもらうもので、同省は27年度に「『もっと女性が活躍できる建設業』地域協働推進事業」を創設。12の地域ネットワークを選定して取り組みを応援し、それぞれのグループが女性の活躍に関する実態調査や交流イベント、研修会、シンポジウムなどを実施してきた。
これら建設業のイメージアップや魅力PRの活動は、女性のみならず、懸案の若年入職者の増加を呼び込むことだろう。
ところで、マスコミ等の報道ですでに周知のことだろうが、人口減少局面に突入したとされる日本社会。加えて15歳以上65歳未満の生産年齢人口が急速に減り、「このままではあと数年で、先の大戦直後の数にまで減るのでは」との観測もある。
そんな状況で道路や河川をはじめとした社会資本整備はどうなるのか。これは道路に限った話ではないが、「公共投資と人口」の関係を見るに、「日本は人口が減るためもう公共投資は不要」などとの主張が識者やマスコミにより、まことしやかにささやかれ、また多くの人々がそれを疑いなく信じる流れが生じている。この認識は正しいのだろうか。これに異を唱えるある識者はこう主張する。
〈「総需要≒総人口」「供給能力≒生産年齢人口」を区別していない。今後の日本は総人口も多少(誤差程度)減るが、それ以上のペースで生産年齢人口が減っていく。すなわち、供給能力が総需要に対し不足するインフレギャップ状態に、中長期的になっていく。インフレギャップを埋める正しい施策は、外国人労働者受入でも、工場の海外移転でもなく、「生産性の向上」だ。生産性の向上を達成するためには、技術開発投資、設備投資、人材投資、そして公共投資以外に方法がない〉―と。
まさしく正論だろう。特に、公共投資による交通インフラの整備が、生産性向上に大きな影響を与えることは、高度成長期の日本を見ても明らかだ。ここに来て道路をはじめとした社会資本整備におけるインフラのストック効果や地域振興の事例が相次ぐ。そして、特に道路に対する救急医療や防災面での必要性の面で国民の意識も大いに高まりを見せている。
第二京阪道路や京都縦貫道開通で沿線の企業立地、観光振興はめざましく、さらに今年3月には阪和道と京奈和道も結節。近未来に発生が予想される南海トラフ巨大地震への備えとしても安全・安心に大きく寄与することを再認識したい。