平成二十九年六月の水防法の一部改正により創設された「大規模氾濫減災協議会制度」に基づき、減災に向けた意見交換を行う「令和2年度淀川管内水害に強い地域づくり協議会(首長会議)」が十七日、大阪市内で開催された。

同協議会は平成二十七年の関東・東北豪雨を踏まえた「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づき、減災に係る各種取組を進めているが、今回は、高槻、枚方、摂津、島本など淀川の沿川各市町から地域の特性に応じた様々な取組事例の情報共有と、緊急行動計画の改定を踏まえた今後の取組および防災避難分野の研究の第一人者として知られる、日本赤十字北海道看護大学教授の根本昌宏氏による講演を踏まえ、感染症蔓延下における避難について意見交換が行われた。

会議の冒頭、国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所の三戸雅文所長が挨拶で、「これまで皆様方が取り組んでこられた様々な対策をもとに、本日は忌憚のない議論を期待します」と述べ、令和元年度の活動報告では、「淀川の減災に係る取り組み方針(改訂版)」が紹介されるとともに、防災シンポジウム(7月10日開催)などこの間の取り組み内容が示された。

続いて根本教授が「新型コロナウイルス感染症蔓延下における避難対策について」をテーマに昨年秋の台風19号、21号被害時の対策事例およびこれからのコロナ禍における注意点を挙げ、トイレ確保の重要性やや段ボールベッド設置における配慮すべき点など避難所運営のポイントを丁寧に解説した。

さらに高槻、島本など五市町の取り組み内容がそれぞれ報告され、意見交換では、森山一正摂津市長が「マンパワーの不足をどう解決するか」との沿川自治体共通と思われる課題を挙げ、これに対して、根本教授が北海道・胆振東部地震での事例(地元商工会や給食センターの活用など)を紹介し、地域オリジナルな視点による対策を提案した。

同協議会では、九州や長野県を始め各地で水害からの逃げ遅れによる多数の死者や、甚大な経済損失が発生していることを踏まえ、水防法に位置付けられる大規模氾濫減災対策協議会として、水防災意識社会の再構築に向け取組みを今後とも一層推進していく