大阪府が茨木市大字大門寺他で事業を進める「安威川ダム」で十四日、定礎式が行われた。式には、地元選出の国会議員をはじめ、首長のほか、地元関係者などおよそ四十人が出席した。
江原竜二安威川ダム建設事務所長の事業経過報告に続き、大阪府の吉村洋文知事が「近年、水害が頻発しており、ダムによる治水効果に期待したい」と挨拶し、自民党副幹事長の原田憲治衆議院議員、井上智夫国土交通省水管理・国土保全局長、福岡洋一茨木市長らが、異口同音に同ダムの早期完成を願う祝辞を披露した。
このあと、木遣り歌が流れるなか、施工陣が重さ約百㌔の礎石を搬入。吉村知事らが礎石鎮定の儀、井上局長らが齋鏝の儀などを行い、最後に大型ダンプによる埋納の儀で定礎を滞りなく運び、今後の工事の安全と早期完成を祈願。そして、出席者一同の万歳三唱を合図に、くす玉が開披され、喜びを共にした。
式典の後、吉村知事は報道陣に「ダム湖面に吊り橋なども計画に上がっており、地元からはダムを観光拠点にしたいという話もあるが、何ができるか考えたい」と述べた。
安威川ダムは、一九六七年に、同流域で起きた北摂豪雨災害(死傷者61人)をきっかけに、大阪府が建設を構想。その後、用地交渉の難航や、民主党政権時にはダム事業見直しの対象となるなど、紆余曲折はあったが、ダム建設による治水効果(当初は利水目的も想定)が、他の対策に比してその有効性が認められ、事業を継続。二〇一四年十一月に起工式が行われ、翌年九月には転流開始、二〇一八年六月には本体基礎掘削が完了した。施工は大林組・前田建設工業・奥村組・日本国土開発 特定建設工事共同企業体。
同ダムは、堤高七六・五㍍、総貯水容量千八百万立方㍍で、総事業費は約千七百億円。二〇二二年春の堤体完成(試験湛水)を予定している。完成時には、流域の大阪市や摂津市など約八万戸の浸水被害などを軽減し、百年に一度の大雨にも対応できるという。