夢洲整備に新年度は57億投入

大阪駅前地下道東広場の防災・減災も
大阪市の当初予算案
大阪市は三十一年度当初予算案を公表した。総額三兆五千七百二十八億五千五百円(対前年度比八・四%減)。内訳は一般会計一兆八千三百五十三億四千万円(同比三・三%増)。特別会計一兆七千三百七十五億千五百万円(同比二・四%増)で、このうち投資的経費は千九百二十六億八千六百万円(同比一〇・五%増)を計上する。「市民サービスの拡充」と「大阪の改革と成長」という方向性を基本に、幼児教育の無償化をはじめとした子育て・教育環境の充実や、真に支援が必要な方へのサービス提供など暮らしを守る福祉等の向上、各区による特色ある施策の展開を推進。あわせて、二〇二五年日本国際博覧会やG20サミットの成功に向けた取組みなど、「大阪の成長戦略」の実行や、統合型リゾート(IR)の誘致、うめきた2期区域のまちづくりなど都市インフラの充実、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた防災・減災対策、大阪経済の成長を加速化させる取組みを、府・市一体で展開していく。
主な事業は、二〇二五年日本国際博覧会の開催及びIRを含む国際観光形成に向けた夢洲地区の土地造成・基盤整備事業に五十七億七千三百万円(うち一般会計一億七千百万円)を充て、夢洲地区における土地造成、基盤整備のための調査・造成や鉄道整備等の検討調査・設計を行う。
さらに、国際博覧会の推進事業に一億五千四百万円を計上し、会場建設費の同市負担金として、二〇二五年大阪博覧会協会が、会場建設に関する基本計画の検討のための調査・分析、環境影響評価、交通アクセスの検討等を実施する。二〇二三~二〇二四年度にパビリオンを建設し、また、関連事業として夢洲まちづくりの実現に向けた基本調査に八百万円を投入し、博覧会後を見据えた夢洲まちづくり(2期以降)に必要な調査を実施。
また、IRを含む国際観光拠点の形成として府市が一体となった大阪へのIR誘致(立地推進事業)に一億六千三百万円を投入する。
そして、都市魅力の向上として、うめきた2期区域のまちづくりとして百二十三億八百万円を投入し、うめきた新駅設置二十四億四千五百万円(駅部のトンネル構造物構築等)、JR東海道支線地下化九十四億九千九百万円(平成三十年度二月補正予算の繰越分二十九億九千三百万円)、大深町地区防災公園街区整備事業三億五千九百万円、うめきた2期みどりとイノベーションの融合拠点形成推進事業五百万円などに力を注ぐ。
一方、中之島地区において大阪中之島美術館の整備事業に四億九千八百万円を計上し、二〇二一年度中の開館に向けて建設工事に着手。この他、中之島4丁目のまちづくりに五百万円、「こども本の森中之島」開館準備・運営事業に七千万円、中之島通の歩行者空間整備に八千万円をそれぞれ計上する。さらに、新大阪駅周辺のまちづくりとして一千万円で、まちづくりの方針の骨格の策定にかかる検討調査を実施する。
高速道路のネットワークの充実では、阪神高速道路淀川左岸線2期事業(事業主体・大阪市、阪神高速道路㈱)に九十三億八千九百万円を充て、阪神高速神戸線~新御堂筋間において、堤防と一体となったトンネル築造工事を促進。加えて淀川左岸線延伸部事業(事業主体、国土交通省、阪神高速道路㈱・西日本高速道路㈱)に二億円を計上して、新御堂筋~第二京阪道路間のトンネルの予備設計及び支障物件移設工事等を実施(国直轄事業への地方負担金)する。
鉄道交通ネットワークの整備は、なにわ筋線事業化の促進を二億二百万円で、整備促進に向けた環境アセスメント、設計等の実施に取り組む。
公共施設の維持管理の推進(都市インフラの充実)では、インフラ施設・市設建築物の維持管理に千二十六億二千万円で、インフラ施設(道路、岸壁等)の維持管理に二百四十億七千八百万円、市設建築物 (一般施設、学校施設、市営住宅)の維持管理に七百八十五億四千二百万円(平成三十年度二月補正予算の繰越分百四十二億千八百万円を含む)。
地下空間の防災・減災対策に関しては、大阪駅前地下道東広場の防災・減災対策に十億四百万円で、梅田エリアにおける重要な歩行者ネットワークの結節点である東広場において老朽化が進行した構造物の改築・リニューアルを実施。二〇一九年度には改築工事を行い、二〇二四年度に完了予定。
南海トラフ巨大地震に対する対策として、堤防等の耐震対策に八十三億四千五百万円で三十一年度には耐震対策工事(堤防約二・一㌔、水門三カ所)、堤防等の耐震設計を行う。また、橋梁等の耐震対策に二億六千万円を充て、地震動対策一橋、津波対策一橋を実施する。
南港コスモスクエア地区(住之江区)に整備する公設民営学校(国際バカロレア等)の設置に二十億二千三百万円を計上。全国初の公設民営の中高一貫校で、三十一年度は新校舎の増築工事等を進め、二〇一九年四月に「大阪市立水都国際中学校・高等学校」を開校させる方針だ。
児童・生徒の急増に伴う教育環境改善には二十三億六千百万円で、北区、中央区、西区の小・中学校において、教室不足が見込まれる学校の校舎増築等を実施する(基本設計―中之島西部地域 小中一貫校 、堀江小学校分校、実施設計―堀川小学校外二校、増築工事―扇町小学校外六校)。
教育系の専門学科を有する新高校の設置に一億三千七百万円で、西高校、南高校、扇町総合高校を再編整備し、教育系の専門学科「教育文理学科(仮称)」 を設置した新普通科系高校を、 扇町総合高校校地に開校(二〇二二年四月予定)で、仮設校舎の建築工事等を行う。