北大 阪急行南北線延伸線2.5㌔延伸

「箕面船場北大阪エリア発展を牽引

阪大前駅」「箕面萱野駅」を新設

新御堂筋など幹線道路の渋滞解消も

商業ビルや住宅地近接も3JVが細心の配慮

 

箕面市、北大阪急行電鉄株式会社が進めてきた「北大阪急行電鉄南北線延伸線(千里中央駅~箕面萱野駅)事業」は、二〇二四年三月二十三日に開業する。 同事業は、千里中央駅から北へ約二・五㌔延伸するもので、総事業費は八百七十四億円。 その間、箕面市内に箕面船場阪大前駅(船場東3丁目付近)、箕面萱野駅(西宿1丁目付近)の二駅を新設した。

箕面船場阪大前駅は〝「繊維のまち」と「新しいまち」その玄関口となる駅〟、箕面萱野駅は〝緑豊かな「箕面の自然」と調和し、新たな出発点となる駅〟をそれぞれコンセプトとして整備。 これからの北大阪エリア発展を牽引する核として稼働する。

南北線延伸線の開業に伴い、大阪メトロ御堂筋線と繋がり、北大阪エリアから新大阪駅や梅田、なんばなど、大阪都心部まで乗り換えなしの鉄道アクセスが誕生。 鉄道の南北軸が強化され、大阪の広域的な活性化に寄与するものと期待される。

また、箕面萱野駅にはバスターミナルが整備され、そこから東西方向に発着するバス路線を大幅に再編することにしている。 これらにより箕面市域の公共交通による移動の利便性を広範囲に向上させるとともに、マイカーから公共交通へと移動手段のシフトが進み、国道423号(新御堂筋)をはじめとする幹線道路およびその周辺の交通混雑緩和や環境負荷低減の促進など多大な事業効果が見込まれる。

工事はシールドトンネル区間(熊谷組・フジタ・森組特定建設工事JV)、開削トンネル区間(大林組・佐藤工業・ハンシン建設特定建設工事JV)、高架区間(大成建設・大日本土木・村本建設JV)の3工区に分割して施工。 現場は大阪でも有数の交通量がある新御堂筋に接し、商業ビルや住宅地が近接しているなかでの大規模工事であり、このため周辺への影響を極力抑えるよう万全を期して作業を進めた。

シールドトンネル区間の工事内容は約一・一七㎞のシールドトンネル二本の掘削と新千里北換気所の構築など。 シールドのセグメントはRCセグメントの他、千里中央駅付近では強度に優れた合成セグメントを使用し、既存の建物に影響がないよう配慮。 また換気所の土留め壁の施工は、工事に伴う車線規制と近隣の住環境への影響を最小限に留めるために小型の機械で施工できるCSM工法を採用して実施した。

開削トンネル区間は駅部、線路部を合わせて約一五万立方㍍の土量を掘削した。 新御堂筋の側道部分での作業となる工区で、機械と人が交通量の多い道路と背中合わせで仕事をする環境となるため、交通事故の防止対策を徹底しながら工事を行った。

また高架区間は、開削トンネルが地上に出た地点から終着駅の箕面萱野駅までの七〇八㍍を建設した。 桁架設は現地の高架上で組み立てた長い桁を国道の上を跨いで送り出して設置。 夜間通行止めにして慎重に工事を行った。 安全にも留意して完工させ開業へと導いた施工陣の業績は高く評価される。(2023年10月17日付け鉄道事業特集より)