【高度外国人材が貴重な戦力に】
 いよいよ大詰めの五月を迎えました。興味深い人材に出会えた頃でしょうか。それとも、未だ期待できる学生に出会えないとお悩みの企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。
以前、女性技術者の積極採用についてお話ししましたが、今回は外国人留学生のお話しです。
少子高齢化に伴う労働人口の減少が産業競争力の低下につながることを懸念し、平成二十年から国が進めてきた「留学生三十万人計画」。留学生を呼び込むために、約三千八百億円をかけて、英語だけで学位を取れるコースや、快適な留学生寮などの拡充を進めてきました。平成二十八年五月一日現在の留学生数は、二十三万九千二百八十七人。ほとんどを中国・ベトナムなどアジア系が占めており、その多くが卒業後も日本で働くことを希望しています。しかしながら、やはり壁となるのが、日本語力。そして、日本独特の人間関係や商習慣。選考途中で馴染めないと判断し、せっかく日本で学んでも就職をあきらめ、結果的に第三国へ流出してしまうことがあります。グローバル化といえども、日本人社員全員が英語を話せるわけでもなく、顧客との交渉もやはり日本語が基本。専門性は高いのに、不合格になるケースが後を絶ちません。実際、日本での就職希望者は、博士課程で五六%、学部卒で七〇%に及びますが、実際に日本で就職するのは、博士課程では一八%、学部で三〇%ほどにとどまります。(出典・日本学生支援機構)。
このような高度外国人材(専門的な能力や高い技術を有するとされる外国人労働者)を採用するメリットは、①海外との取引におけるネットワークの構築・拡大により、グローバル経営を推進できる。②日本人には無い外国人ならではの能力・発想を取り入れることができる。③国内の外国人向けサービス需要の高まりに対応でき、ビジネスの競争力強化につながる。④国籍に関係なく、優秀な人材を確保することができる。⑤組織の多様化・日本人社員への国際化に良い影響を及ぼすことができる、などが挙げられます。
例えば、私が指導する外国人留学生においても声高な発信力や主張しようとする姿勢には目を見張るものがあります。加えて、目標達成意欲が高く、コツコツとかつ真面目に工夫を重ね、我が国の大学生のように失敗を恐れず、どんどん試しながら解決することを楽しめる人たちです。今は拙くとも、しっかりとした指導者と先輩モデルケースがあれば日本語はさらに上達し、貴重な戦力になると思われます。くわしくは、『高度外国人材活用のための実践マニュアル~活用・定着で悩んでいる方へ~』(平成二十五年度厚生労働省委託事業、㈱富士通総研)をご覧ください。ウェブ上で閲覧できます。
外国人留学生には、日本人学生以上に面接面談回数を増やす、可能であればインターンシップの活用により、その人柄を見極めることができます。就労ビザなど手間がかかる事があるかもしれませんが、AI(人工知能)では埋められない職務を新たに担ってくれるのは、外国人留学生かもしれません。
新居田 久美子(キャリアコンサルタント)