【就職差別等のリスク回避へ担当者の意識統一を】
今年も桜が開花しました。ピカピカの新入社員たちが、社内ムードを一新してくれる時期ですね。時を同じくして、二〇一八年度採用者の応募書類も集まりはじめた頃でしょうか。書類選考のあとは、いよいよ面接です。面接試験で直接本人に会い、コミュニケーションをとる中で人物評価を行う。学生たちにとっても、企業をじかに見定める機会です。
昨今では、「圧迫面接」なるものが学生たちを必要以上に怯えさせているようです。「圧迫面接」とは、就活生の矛盾点を突き、わざと否定的な態度をとったり、意地悪な質問をしたりする面接のこと。回答から学生の本音や頭の回転、ねばり強さなどを確認する手段として使うとされています。例えば、「○○をやってみたいのなら、競合のA社に行ったほうが適切だと思うけど?」「君のような優秀者が当社に入りたいわけないよね。面接練習しに来たんでしょう?」などです。確かに一方的に決めつけられたような不快感はあります。しかし、根拠を持たずに面接に臨む学生が答えに窮するのは当然。つまり企業理解を深め、意志を明確化せずに面接に臨んだ学生にも改善点はあると私は思います。なんでもかんでも、答えにくい質問をされたら「圧迫」と決めつけることは早計であり、準備次第で回避できるのだから恐れることは無いとアドバイスしています。
一方で、就職差別につながるおそれのある不適切な質問、またそれらの質問に対する記載を求めた書類の提出などは、禁止されています。例年、面接官の発言で心に傷を負った学生、企業に不信感を抱く学生がいます。国(厚生労働省)は公正な採用選考制度の確立に向けた取り組みを企業に求めています。以下、具体的な質問例を抜粋します。(「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」大阪労働局HPより)
①本籍に関する質問=あなたの本籍地はどこですか▽あなたのお父さんやお母さんの出身地はどこですか▽生まれてから、ずっと現住所に住んでいるのですか。
②住居とその環境に関する質問=あなたの住んでいる地域は、どんな環境ですか▽あなたのおうちは国道○○号線(○○駅)のどちら側ですか▽あなたの自宅付近の略図を書いてください。
③家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問=あなたのお父さんは、どこの会社に勤めていますか。また役職は何ですか▽あなたの家の家業は何ですか▽あなたの家族の職業を言ってください▽あなたの家族の収入はどれくらいですか▽あなたの両親は共働きですか▽お父さん(お母さん)がいないようですが、どうしたのですか▽お父さんが義父となっていますが、詳しく話してください。
④資産に関する質問=あなたの住んでいる家は一戸建てですか▽あなたの住んでいる家や土地は持ち家ですか、借家ですか▽あなたの実家の不動産(田畑、山林、土地)はどれくらいありますか。
⑤思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問=あなたの信条としている言葉は何ですか▽家の宗教は何ですか。何宗ですか▽あなたは、神や仏を信じる方ですか▽あなたの家庭は、何党を支持していますか▽労働組合をどう思いますか▽尊敬する人物を言ってください▽あなたの家では、何新聞を読んでいますか。
⑥男女雇用機会均等法に抵触する質問=結婚、出産しても働き続けられますか▽学生時代は自宅通学でしたか▽何歳ぐらいまで働けますか▽今、つきあっている人はいますか▽結婚の予定はありますか。
このように、「本人に責任のない事項(国籍・本籍・出生地・家族状況等)」「本来自由であるべき事項(思想・信条、宗教等)」を質問することなどは、公正な採用選考に反するおそれがあります。また、男性または女性を排除あるいは敬遠しているかのような質問、発言等は、男女雇用機会均等法に反するおそれがあります。あるいは、面接官からは質問していないのに、他の質問に関連して学生の方から「家族の職業」「親の勤務先」などについて話し出すケースがあります。このようなときは、趣旨を学生に説明し、これらのことについて話す必要はないことを伝えて頂いてかまいません。
ひと昔前なら、ごく普通の質問であったものもあるかもしれませんが、今では世間一般的にセクハラ・パワハラ的な質問と解釈されます。性的な質問、威嚇・牽制するような態度など精神的苦痛を強いる圧迫面接は、さらに大きな問題となってしまいます。これらは、企業の評価を下げ、社会的信用の失墜につながる可能性がある危険な行為です。自社の面接試験において、上記に該当するような質問がないか、今一度確認してください。
もはやSNS利用が生活の一部である現代の若者たち。何気ない一言が、一気にネット上に広がるというリスクを回避するためにも、採用担当者全員で意識統一しておくことが大切です。
新居田 久美子(キャリアコンサルタント)
昨今では、「圧迫面接」なるものが学生たちを必要以上に怯えさせているようです。「圧迫面接」とは、就活生の矛盾点を突き、わざと否定的な態度をとったり、意地悪な質問をしたりする面接のこと。回答から学生の本音や頭の回転、ねばり強さなどを確認する手段として使うとされています。例えば、「○○をやってみたいのなら、競合のA社に行ったほうが適切だと思うけど?」「君のような優秀者が当社に入りたいわけないよね。面接練習しに来たんでしょう?」などです。確かに一方的に決めつけられたような不快感はあります。しかし、根拠を持たずに面接に臨む学生が答えに窮するのは当然。つまり企業理解を深め、意志を明確化せずに面接に臨んだ学生にも改善点はあると私は思います。なんでもかんでも、答えにくい質問をされたら「圧迫」と決めつけることは早計であり、準備次第で回避できるのだから恐れることは無いとアドバイスしています。
一方で、就職差別につながるおそれのある不適切な質問、またそれらの質問に対する記載を求めた書類の提出などは、禁止されています。例年、面接官の発言で心に傷を負った学生、企業に不信感を抱く学生がいます。国(厚生労働省)は公正な採用選考制度の確立に向けた取り組みを企業に求めています。以下、具体的な質問例を抜粋します。(「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」大阪労働局HPより)
①本籍に関する質問=あなたの本籍地はどこですか▽あなたのお父さんやお母さんの出身地はどこですか▽生まれてから、ずっと現住所に住んでいるのですか。
②住居とその環境に関する質問=あなたの住んでいる地域は、どんな環境ですか▽あなたのおうちは国道○○号線(○○駅)のどちら側ですか▽あなたの自宅付近の略図を書いてください。
③家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問=あなたのお父さんは、どこの会社に勤めていますか。また役職は何ですか▽あなたの家の家業は何ですか▽あなたの家族の職業を言ってください▽あなたの家族の収入はどれくらいですか▽あなたの両親は共働きですか▽お父さん(お母さん)がいないようですが、どうしたのですか▽お父さんが義父となっていますが、詳しく話してください。
④資産に関する質問=あなたの住んでいる家は一戸建てですか▽あなたの住んでいる家や土地は持ち家ですか、借家ですか▽あなたの実家の不動産(田畑、山林、土地)はどれくらいありますか。
⑤思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問=あなたの信条としている言葉は何ですか▽家の宗教は何ですか。何宗ですか▽あなたは、神や仏を信じる方ですか▽あなたの家庭は、何党を支持していますか▽労働組合をどう思いますか▽尊敬する人物を言ってください▽あなたの家では、何新聞を読んでいますか。
⑥男女雇用機会均等法に抵触する質問=結婚、出産しても働き続けられますか▽学生時代は自宅通学でしたか▽何歳ぐらいまで働けますか▽今、つきあっている人はいますか▽結婚の予定はありますか。
このように、「本人に責任のない事項(国籍・本籍・出生地・家族状況等)」「本来自由であるべき事項(思想・信条、宗教等)」を質問することなどは、公正な採用選考に反するおそれがあります。また、男性または女性を排除あるいは敬遠しているかのような質問、発言等は、男女雇用機会均等法に反するおそれがあります。あるいは、面接官からは質問していないのに、他の質問に関連して学生の方から「家族の職業」「親の勤務先」などについて話し出すケースがあります。このようなときは、趣旨を学生に説明し、これらのことについて話す必要はないことを伝えて頂いてかまいません。
ひと昔前なら、ごく普通の質問であったものもあるかもしれませんが、今では世間一般的にセクハラ・パワハラ的な質問と解釈されます。性的な質問、威嚇・牽制するような態度など精神的苦痛を強いる圧迫面接は、さらに大きな問題となってしまいます。これらは、企業の評価を下げ、社会的信用の失墜につながる可能性がある危険な行為です。自社の面接試験において、上記に該当するような質問がないか、今一度確認してください。
もはやSNS利用が生活の一部である現代の若者たち。何気ない一言が、一気にネット上に広がるというリスクを回避するためにも、採用担当者全員で意識統一しておくことが大切です。
新居田 久美子(キャリアコンサルタント)