地下四十㍍より深い「大深度地下」を利用する大阪府内で初となる工事として注目の「寝屋川北部地下河川事業」において、このほど大深度地下使用法に基づく使用認可申請がされたことから二十日、大阪市中央区大手前の合同庁舎第一号館で協議会としては最終となる「第6回近畿圏大深度地下使用協議会」が開催され、認可申請にあたり同法に基づく協議会の意見を聴取する会合が開かれた。

会合の冒頭、国土交通省都市局の清瀬和彦官房審議官が挨拶に立ち「本日は寝屋川北部地下河川事業の大深度地下利用が議題となっている。寝屋川流域では浸水被害が頻発していることから、これに対応するもの。今年二月に事業者から国交省へ認可申請が成されたが、五月には申請書縦覧、その後公聴会や学識経験者からの意見聴取が行われている。本日は関係機関からの意見をうかがう場であり、宜しくお願い申し上げます」と述べた。
会合では、認可申請の状況を府の担当者が報告するとともに、大まかな事業スケジュールを説明。また、関係機関への意見聴取などが行われた。
認可時期など今後のスケジュールについて国交省の担当者は「地下河川での大深度使用は過去に例がなく、審査結果の公表時期については全くの未定」としている。
議題となった寝屋川北部地下河川事業(一四・三㌔)では鶴見立坑以西が供用済みで、鶴見立坑~城北立坑間(内径九㍍、延長一、七七八㍍、貯水量十二万立方㍍=鶴見調節池)、城北立坑~ポンプ場間(内径一一・五㍍、延長二、九〇五㍍、貯水量三十万立方㍍=都島調節池)の延長四、六八四㍍が未整備で残っている。同区間については基本的に都市計画道路下(未整備部含む)の大深度を使用して施工する。
大深度地下を利用する区間については現在、認可に向けての法律上の手続きおよび審査が行われている。大阪府では守口調整池が二〇二〇年を目指して施工中で、さらに城北立坑から鶴見立坑への詳細設計を行っており、二〇一九年度に初弾工事(城北立坑築造、内径約二五㍍、深さ約八〇㍍の規模を見込む)の発注を目指して準備を進めている。詳細設計は東京建設コンサルタント関西本社(大阪市北区)が担当。鶴見調節池の詳細設計は日建技術コンサルタント(大阪市中央区)が担当している。
立坑完成後、同立坑をシールドマシンの発進基地に、上流側(東方)の鶴見立坑(既設)に向けて地下河川(鶴見調節池)を掘り進める。その後、下流側のポンプ場(到達立坑)に向け掘進。シールドマシンは泥水式となる見込み。

寝屋川北部地下河川事業は、当初は大阪市が建設する市道の地下を通す計画だったが、道路整備のメドが立たないため、土地所有者の補償が原則不要な大深度地下を活用しようというもの。府では「寝屋川北部地下河川事業」に関する大深度地下利用の認可を二月末に国交省に申請済みで、未着工区間である大阪市都島区の大川(旧淀川)と鶴見緑地間の約四・六㌔のうち計約二・二㌔が対象区間。最も深い場所で地下七〇㍍を利用する。
もともと同事業は、寝屋川流域における総合治水対策の一環として計画(都市計画河川寝屋川北部地下放水路)。 鶴見立坑(守口市)~讃良立坑(寝屋川市)は二〇一五年度末に完成し、 貯留施設として暫定供用しており、 大川(都島区)~鶴見立坑は、従前の計画では都市計画道路北野今市線・都島茨田線の道路整備にあわせ、その地下に整備することとしていたが、道路事業における用地買収の進捗状況は、地下河川を整備できるまでには至っていない。
このような状況を踏まえ、府では、寝屋川北部地下河川の早期完成を目指すため、当該区間で「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下使用法)に基づき、大深度地下の使用認可を取得したもので、二〇〇〇年にスタートした大深度地下使用法に基づく使用認可については、全国的にも事例が少なく、関西では二〇〇七年の神戸市大容量送水管整備事業、関東では東京外郭環状道路(関越道~東名高速、二〇一四年)があるのみ。そして続くリニア中央新幹線についてもすでに申請済みではあるが、認可については未だおりておらず、今回の寝屋川北部地下河川の方が先に適用されることもあり得るという。