国土交通省近畿地方整備局・足羽川ダム工事事務所が建設を進める国直轄の「足羽川ダム」(福井県今立郡池田町)の本体工事の着手に当たり、十五日に起工式が現地で開催され、来賓や事業関係者、地元の人々ら約百五十人が集い、鍬入れや、くす玉開披で目標とする二〇二六年度完成へ工事の安全を祈願。一九八三年の実施計画調査から三十七年を要した直轄では最大級の「流水型ダム」事業の大きな節目を、地元の人々と共に祝い、事業の本格化に弾みを付けた。

式典には、主催者である国土交通省から前近畿地方整備局長で現在は本省の水管理・国土保全局長を務める井上智夫氏、溝口宏樹近畿地方整備局長、福井県から杉本達治知事、福井市から東村新一市長、地元の杉本博文池田町長、櫻井寿之足羽川ダム工事事務所長、そして来賓として、山崎正昭参議院議員、高木毅衆議院議員、稲田朋美衆議院議員、山本拓衆議院議員、滝波宏文参議院議員、足立敏之参議院議員が出席。井上局長をはじめ、各来賓からの祝辞では、一九八三年の実施計画調査からここに至るまで三十七年を要した経緯や用地を提供する地元の人々の苦労、そして二〇〇四年に起こった福井豪雨による下流部の人々が受けた被害(死者・行方不明五人、浸水家屋一万三千棟以上)など、幾多の曲折を経ての本体工事起工に感慨を新たにするとともに、近年の豪雨災害の頻発に対して、同地の安全・安心の暮らしにインフラとしてのダムが必要不可欠であり、脱炭素社会の実現(二〇五〇年を目標)にも有益なことを、異口同音に語るとともに、改めて父祖伝来の用地を提供された方々に感謝の意を表した。そして、櫻井所長の事業経過報告に続き、福井市内在住で、奇しくも福井豪雨の年に生まれた女子高校生、須方海咲さんによる「下流からのメッセージ」が披露され、最後に来賓、主催者および地元関係者らで鍬入れ・くす玉開披が行われ、ダム本体の起工を全員で祝った。

 

「足羽川ダム」は、足羽川、日野川、九頭竜川の下流地域における洪水被害の軽減を目的として、九頭竜川水系足羽川の支川・部子川(福井県今立郡池田町小畑地先)に洪水調節専用のダムと併せて、他流域の四河川(水海川、足羽川、割谷川、赤谷川)の洪水を導水するための分水施設(堰・導水路)を整備するもの。現在、河川整備計画期間内に先行的に建設する施設(Ⅰ・Ⅱ期工事=ダム本体及び水海川分水堰・水海川導水トンネル)の整備が進んでいる。総事業費は千三百億円。

同事業のダム本体工事は、「足羽川ダム本体建設(第1期)工事」として清水・大林特定JVに決定(落札額百二十五億二千五百万円)しており、主な工事の概要は、重力式コンクリートダム(堤高約九六㍍、堤頂長約三五一㍍)、ダム土工本体基礎掘削八〇〇、〇〇〇立方㍍、原石山掘削六六〇、〇〇〇立方㍍(全体一、六六〇、〇〇〇立方㍍)、法面、堤体EL一七五㍍~一九二㍍(全体EL二七一㍍)、コンクリート堤体一三〇、〇〇〇立方㍍(全体六七〇、〇〇〇立方㍍)など。

ダム建設に伴う付替県道では、概成した箇所もあり、また、先行して進められる水海川導水トンネル(施工=Ⅰ期・熊谷組、Ⅱ期・安藤ハザマ)は、全長約四・七㌔のうち、現在約二・六㌔まで掘り進んでいる。

一方、同事業のPRとして、池田町民限定で転流工の内部を公開(「光の回廊ウォーク」)し、概成した付替県道を歩く(「天空の道ウォーク」)体験イベントが行われ、ダムのロゴマーク=写真=も三案から地元の人々らの投票で選定された。