平成二十六年七月から、道路管理者は、全ての橋梁、トンネル等について、五年に一度、近接目視による点検を実施しているが、国土交通省では三年目にあたる平成二十八年度の点検の実施状況や結果、措置状況を 「道路メンテナンス年報」としてまとめた。
それによると、二十六~二十八年度の点検実施状況は、橋梁(約七十三万カ所)のうち五四%、トンネル(約一万カ所)のうち四七%、道路附属物等五七%と着実に進捗しており、今回は判定区分Ⅳ(四段階評価で最悪の「緊急対策が必要」)の施設の措置状況を初公表した。判定区分Ⅳの橋梁は三年間の累計で三百九十六橋あり、トンネルは二十七カ所、歩道橋など付属物が十三カ所だった。
これら計四百三十六カ所の緊急対策後の対応では、架け替えや修繕が完了したかもしくは予定の施設は二百五十二カ所、撤去・廃止か予定している施設が百二カ所、未定が八十二カ所となっている。
また、判定区分Ⅱ(予防保全が必要)、Ⅲ(早期措置が必要)の施設の修繕実施状況も初公表され、予防保全型の修繕はまだ進んでいない(二十六年度点検で約三%、二十七年度点検で約一%)。なお、健全性の判定区分Ⅰは、健全(構造物の機能に支障が生じていない状態)を示している。
このほか、市町村の体制を補うための地域一括発注の活用が増加しており、二十七年度の四百五十三団体から二十八年度には六百五団体に増えている。

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橋梁等は5年に1度、近接目視による全数監視を実施している
建設後50年経過の橋梁
10年後に44%まで増加
国土交通省の調査によると、全国73万の橋のうち、2016年時点で建設後50年を経過した橋は全体の20%だが、10年後の2026年には44%に増加する見通し。橋の多くが高度成長期に相次いで建設されたからだ。しかも、全体の3分の1近い約23万は建設時期がはっきりしない。
このうち、高速道路や本四連絡道路が3%、国管理の国道が6%、都道府県管理の国道、都道府県道が20%を占め、残り70%以上が市町村管理になる。

橋脚や橋げたに重大な損傷が見つかり始めるのは、建設から50年程度が経過してからが多い。自治体が橋の通行規制をした例は2008年に977件しかなかったのに、2015年になると2,357件まで増えた。老朽化に伴い、今後もその数は増え続ける見込みだ。
国交省が二十七年度に全国約14万の橋、1,800のトンネルを対象に実施した老朽化点検では、32道府県の141の橋と5県の6つのトンネルが緊急対策を必要とされた。早期対策が必要とされた施設も、1万4,489の橋と823のトンネルに上る。
国交省は二十四年に山梨県大月市の中央自動車道・笹子トンネルで発生した天井板落下事故を受け、橋や道路、トンネルの点検を5年に1度実施するよう指導している。しかし、自治体のうち町の3割、村の6割に橋の保全を担当できる技術者がいない。 遠くからの目視だけで点検を済ます自治体もあり、十分な対応をできていないのが実情。人口減少に伴う財政難が深刻さを増しており、早めに架け替えで対応することができず、橋の通行止めに陥る例が全国で急増しており、市町村の体制を補うための地域一括発注の活用などで適切な対応が求められるゆえんだ。